2008-05-30(金) 雨一時曇 安静時心拍数 51 [長年日記]
_ 日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由(久手堅 憲之)
今月は本当に辛酸を嘗めていてしんどかったので同情してくれそうな本を読んで気を紛らわしました。そしてこれは期待を裏切りませんでした。
プロローグの7人の男の紹介を読んだ限りでは、どうせ50歳前後の「10年は泥のように働け」のオヤジの集まりかと思ったのですが、実は全くその逆で、問題の原因とその解決方法を熟知したプロフェッショナル集団でした。私の不満とするところを指摘してくれているので、読んでいて気分がよくなります。尤も、泥のように働く対象は生活費稼ぎのために勘違いでこの業界に入ってきた人であり、その人たちに苦言を呈しているのであれば話は別ですが。
「コンピュータを自在に操る、神の手を持っているんです。シロウトにはない特異な技術を持っているというこのと価値を当人たちが気づいていない。そのことをもっと意識して欲しいですね。自分たちには特殊な技能があるんだ、と。
新しい技術を追いながら自分の神の手を磨き続けると、プロフェッショナルとして生きていけると思う。会社はこんなことを教えてはくれないし、自分で気づくチャンスは限られている。それで、会社の引いた線をトボトボと歩いているという格好になってしまっているのではないでしょうか。
もったいないと思いますよ。みんな本当に素晴らしいんだから、もっとその才能を発揮して、それが世の中から感謝される経験をして欲しいといつも思います。
個人的な趣味に走る傾向の人が多い世界なのは確かなので、収益とかいろんなビジネス的な観点で、世の中やお客さんが期待する方向に自分を向けることは、そんなに得意じゃないところもある。でも、プロフェッショナル意識を強く持って、方向をそろえる人が多く出れば、すごく大きなパワーになるはずです」(p.187 - 188)
このコメントに救われた気がしました。
日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由
技術評論社
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